顧客満足と規則

私は今、業務用や個人用に、いくつかの場所に駐車場を借りているのですが、

 

今日はその中の一つの駐車場で起きた話を書きます。


まあ、私が悪いっていう話なのですが・・・w


都内で借りている地下立体駐車場なんですが、駐車場の操作盤に専用のカギを差し込むと、通常は二階部分に駐車されている私の車が、一階部分に降りてきて出庫でるという方式の駐車場なんです。

 

とうぜん入庫するときも、カギを差し込んで、自分の駐車パレットを降ろさないと、駐車できないという仕組み。


で、私がやっちゃったのが、ある休日、その駐車場の操作盤にカギを差し込んだまま、出かけちゃったんですね。


出かけた先で気が付いたのですが、駐車場の管理人や、オーナー会社に電話しても、休日なので電話に出ないんです。

(一応休日と夜間の代理電話受付があるのでそちらに連絡もしたのですが、受付だけはするけど、何も対応出来ないただの電話番会社なんです)


その日のうちに駐車場に戻ったのですが、操作盤にもうカギは刺さっていなかったんです。


カギがないと車を駐車場に入れられないので、車は仕方なく、近所のコインパーキングに駐車しました。

 

負落とし物として届いていないか、警察署に電話したり、私の勘違いで例えば車の中に駐車場キーを落としていないか探したりして、(誰か悪い人にカギを取られたのではないかと不安な思いのまま)その日は過ごしました。

 

で、翌日(平日)

管理人と連絡が取れたので、聞いてみたら


「カギは預かっている」

「カギが差し込みっぱなしだと警報がなるので、休日だったが自分(管理人)がカギを取りに行った」

「カギと駐車場契約者リストから、誰がカギの持ち主かはわかるのだが、自分(管理人)は利用者に連絡するという事は出来ない規則になっているので、連絡が来るのを待っていた」

「休日も電話には出なくていいという規則になっている」


とのこと


・・・せめて(管理人が預かっているとかそういう)張り紙でもしてくれていたら良いのに~と思いましたが、その実直な管理人の態度を見ていると、そんなことコイツに言っても無駄だと感じられました。

 

なんかこう、管理人の事務的な対応に、ムシャクシャしました(悪いのは自分なんですけどね)

 

 


話変わります

 

アメリカの航空会社の実話です。

 

これは「顧客満足」の好例題としてMBAのケースワークでよく取り上げられる話題です(詳細は私の記憶違いもあるかも知れないので、細かな部分事実と異なるかも知れませんが、あくまでも例として趣旨ご理解の上読んでください)

 

ある飛行場のチケット売り場。


ある老夫婦が、朝から「キャンセル待ち」のチケットが出ることを待っていた。


混雑する時期で、ほとんどの飛行機が満席、たまにキャンセルが出ても、抽選に外れたり、価格的に手が出なかったりで、老夫婦はずっと飛行機に乗れずにいた。


その様子を見た、航空会社の地上勤務職員が、老夫婦に声をかけた


「どうなさいましたか?」

「XXXに住んでいる息子が倒れたと聞いたので、朝急いで空港に来たんですが、キャンセルも出ず、お金もあまりないので、困っているんです」


その地上勤務職員はすぐあらゆる関係部署に連絡を取り、老夫婦をエコノミーの値段で、ファーストクラスのリザーブシートに乗せる手配をした。

 

こういう話。

 

ヒーロー性を重視する、米国っぽい美談ですね。

 

反面シニカルにみると「他のキャンセル待ちの人や、正規の値段でファーストクラスに乗っている人に、不平等じゃないか!」なんて感じる人もいるでしょう。

 

 

 

規則っていうのは、何かに対して最適化された、いわば法律です。破ると、最適化が壊れます。


「影響範囲」というものがあります。


規則を破れば、何かに影響が出ます。その影響をすべて理解して仕事をすることは困難だと考えられますから、最適化された規則に則って仕事をしていれば、安定した品質が出せます。


例えば先の、駐車場の例でいえば


管理人が規則を破って、カギの操作盤に「カギを忘れた方、こちらに連絡ください 090-xxx」などと、張り紙をしていたら、どんな悪影響があったでしょう?
(何か悪い人がその張り紙をみたら、悪い事、例えば車ドロボウなどを、考え付くかも知れませんね)


ですから管理人は、目の前の顧客(私の事)の顧客満足度を下げるような対応しか、出来なかったんです。影響範囲がわからないから、規則に従うしかない。


この対応は、言うなれば、


 顧客満足 < 規則


ですね。

 

 

では逆に、航空機の例ですが


地上勤務職員は、なぜ、規則を破り、他のお客様からすれば「不公平」とも取れる対応をとったのでしょうか?


この地上勤務職員は、おそらく、自分が規則を破ったとした時(エコノミーの値段で、空席待ちに当選してもいない人を、ファーストに乗せる)の、「影響範囲」をすべて見通せていたのだと思います。


だから


 顧客満足 > 規則


が、出来た


さらにさらに、言うと


こういう対応をしたら、もしかしたら「あの会社は不公平だ!」などと、一般の人々から批判的クレームが集まる可能性だってありますね?


だからこの職員は、方々に連絡を取り、おそらくその全ての回答が「OK」だったのだと思うんです。

 

したがって


 顧客満足 > 規則


という「社風」があったと、僕は考えるんですね。


先の「駐車場」の場合、きっとオーナー会社が、「 顧客満足 < 規則 」 な社風なんじゃないかって思うんです。

 


日本の会社って、やっぱり


 顧客満足 < 規則


まだまだ、多いです。

 

 従業員満足 < 規則


だって、そうだし

 

もしかしたら現在、日本全体の「国風」が、そうなのかも、しれませんね?

 

規則を破って、失敗したヤツを、吊し上げる「国風」

 


改めますが、

 

規則っていうのは、何かに対して最適化された法律です。


この法律を、「誰かの満足の為に、壊す」となれば、そうとうな勇気と、それを支援する風土が必要です。


さらに、


そもそも「ビジネス」の主体が、「規則従属性」を強く必要とするものなのか?「例外柔軟性」を必要とするものなのか?によって、「規則を壊す風土の必要性」は異なるでしょう

 

私は、ソノリテと言う会社を


 「規則従属性」 よりも 「例外柔軟性」 に強い会社にしていきたい と、考えています。

 

なぜならば当社の経営哲学が「共鳴」だからです。

 

ソノリテとは「共鳴」を表すフランス語


お客様の心と共鳴したその先に、我々がやるべきこと、は


我々側の規則をお客様に押し付ける事では、無いはずです