「キッカケは何でもいい」
ある少女漫画に関する、ファンのシンポジュウムを聴講に行った時に、聞いた言葉です。
その漫画のディープなエバンジェリストさんや、関係者が、その漫画に対する思いや、お勧めなどを語り合うという趣旨のシンポジュウムで。
「(その漫画を)読んだ事がない人に、どうお勧めするか?」
というような、テーマが生まれ、その討論のなかで、出た言葉が
「キッカケは何でもいい」
でした。
と、言いますのも
その少女漫画は、内容や心理描写が深く、哲学的な内容なのです。
多くの読者は、その哲学的な物に惹かれ、ディープなファンになっていくのですが
でもまあ、「この漫画、すごく哲学的ですよ。」というようなお勧めをすると、普通まあ「そんな重たい内容の物を読むのは大変そうだなぁ。みたくないなぁ。」と、思われてしまうかも知れないじゃないですか
そこで、出てくるキーワードが
「キッカケは何でもいい」
つまり、少女漫画ですから
・絵の好み(かっこいい青年が出てくる・・・とか)
・やおい的な嗜好(男性同性愛など)の有る無し
・ロリ趣味的なもの
など、
要するに「なにか、とっかかり、興味をひくような物事」が有れば、それをきっかけにこの漫画を読み始めてさえくれれば、その本質的な良さに、後からだんだんと惹き込まれるのではないでしょうかね・・・
ということで
同少女漫画の
・かっこいい絵のシーン
・やおい的要素のある部分
・ロリ的要素のある部分
などを、シンポジュウムでクローズアップして、トークされていた、わけです。
それがとても盛り上がったのですね。すごく盛り上がった
本質的には全ての作品が、「重たい話」なのですけれども、シンポジュウムとしては、そういう「軽い話」で盛り上がり、聴衆の興味を喚起したんです。
エンターテイメントって、そういう部分がありますよね。
例えば私は、ちょっとミリオタみたいなところがありまして、戦争を題材とした
映画なんかを観る事も、多いんですが
最初は
・出てくる銃器、戦車などの武器
・血沸き肉躍る戦闘シーンや演出
などを目当てに、観に行くんです
でも結果として、何に感動するかというと、それは例えばストーリーにおける生死に
かかわるドラマであったり、人間や戦争の悲哀であったり、そういうモノの描き込まれた内容について、感動するわけですね。
つまりキッカケは、軽~い、ミリオタ感覚
別にミリオタ感覚じゃなくっても、例えば主演女優が好みだとか、場合によっては今時間があるから映画なら何でも良いとか、ほんと、「キッカケは何でもいい」と思うのです
もしかしたらキッカケとは、というか人の初期衝動を呼び起こす起因になることは、軽い内容のほうが、いきなり重厚なものよりも、そぐうのかも知れないって思ったりもします。
では、ここで話を少し変えますが、例えば「恋愛」って、どうでしょう?
私はこれも「キッカケは何でもいい」んじゃないかなって思うんです
・週末暇だから彼氏が欲しいな
・合コンで前に座ったあの子カワイイな、彼氏いるのかな
・親が早く結婚しろってウルサイな
・あの人私に気があるみたいだな。暇だし付き合ってもいいかな
程度の、たいした動機じゃなくって、良い
たいした動機じゃなくって良いから、恋愛してみる。
そうすると、人と人が触れ合って、楽しみあったり、場合によっては傷つけあったりしていくなかで、何か感動が有ったり、成長が有ったり
最初から「この人と付き合う事によって、私に何がおこるだろう」と、考えすぎて、何も動かないよりも、簡単な初期衝動によって恋愛をして、それによって、例えば人に優しくなれたり、許しの感情とか、自分だけでなく人の為に生きることの意義とかそういう物事を考えたりして、成長していくほうが、私は良いのではないかと思うんです。
どうでしょうか?共感出来ますか?
そう考えると「キッカケは何でもいい」事って、身の回りに多いと感じませんでしょうか?
例えば「就職」も、僕は同じように思うんですね。
就職も「キッカケは、何でもいい」
・家に近い
・知っている先輩が居る
・親が早く就職しろってウルサイ
・この会社に勤めているって言ったら、合コンでモテそう
・とりあえずバイト辞めたい
つまり初期衝動って、何でもいいと思うんです。
で、そういう初期衝動において就職活動をしたり、実際に就職して仕事を始めていく
中で、いろいろな厳しさや、人間関係などに触れ、自分が成長していけば、良い
私は、本当にそう思っているのです
違いますかね?
違いませんよね、きっと
もちろん「自分はこの分野のプロになって人々に価値を与えるのが夢だったから、
そういう分野に就職するんだ!」と、強い意志をもった人を否定するわけじゃ無いんです。それはとても素晴らしいこと
でも
やっぱり僕は、「キッカケ」っていうのは何でも良いんだ。軽いもので良いんだ
って思うんです
問題はその後ですよね
軽い気持ちで映画を観に行って構わない。その深いストーリーによって何か情緒が成長すれば良い。そういう感受性の無いままに、映画を観終わったら残念
軽い気持ちで異性と付き合いだして構わない。その後の付き合いの中でお互いが成長出来れば良い。ただお互いがワガママを言い合うだけで別れてしまったなら残念。
軽い気持ちで会社に入って構わない。その後その会社で一生懸命に働いて、色々なストレスに立ち向かって成長出来れば良い。「とりあえず給料がもらえれば良い」とボヤっと日々を過ごすなら残念。
そう、思いませんか?
そう考えると、人生の大半は、「キッカケは軽い事、でもその後それがその人の
人生において重要なものに育っていく」という事ではないかと思うんですよね。
ちょっとクドくなってきたので、もう止めますけれど
だから私は、当社株式会社ソノリテの「入社面談」で
・当社で何をやりたいですか?
・当社の何に魅力を感じますか?
・あなたの夢は何ですか?
みたいなこと、あんまり聞きたくないんです
だから当社は「入社面談」という言葉を使わずに、「ソノリテに遊びに来てください」と、言っています。
http://sonorite.co.jp/employment/message.html
だってキッカケは、何だって良いじゃないですか?そう、思いませんか?