- 今、ここは会社で、同僚が10人ほどいる
- 会社の退勤時間になろうとしていて、皆帰り支度をしている。
- 常連のお客様から急な電話が来て、明日の朝までに(そうだなぁ…例えば)「恰好のいい男性の絵」を描いて、納品してほしいと、頼まれた。
- この「絵を描く仕事」という事を、この会社では誰もやったことがない。ですが「どうしても御社でやってくれ!」と常連のお客様が言っています。
さて、アナタは、お客様からの電話を受けた人です。
電話を受けてしまったからには、誰かにこの仕事を振らないといけません。
どうしますか?
答え1)
「申し訳ありませんが当社はもう終業時刻が近くなっておりまして、また、そのようなお仕事をお受けしたことは前例がなく、このお仕事をお受けすることはできません」
まあこれも、答えですね。
どのような仕事をしているかにもよりますが、この答えでは、あまり優れたサービス業の姿勢とは言えないかも知れないですね。
このお客さま常連です。この会社が何時が定時かくらい、だいたい知っているでしょう。「絵を描く仕事をしていない」という事も知っているでしょう。
その常連のお客様が、急に電話をかけてきたのですから、ちゃんとお話を聞いて、解決してあげようと考えるのが、まあ、優れたサービス業の姿と言っていいでしょうね。
アナタが答え1)のような回答をしたことで、この常連は会社を嫌いになるかも知れませんね。
答え2)
(皆、帰りたいだろうから、私がお話を聞いて、私が出来る事だったらやろう。私が出来ない事だったら、丁重に謝ろう)
こういう人、けっこう、居ますね
なんとなく、他の社員想いの、やさしい社員なんじゃないですかね。アナタは。
でもこれ、正解なんでしょうかね?
アナタは、八方美人に成りたいだけで、お客様のことなんてちっとも考えてはいないですね。
だってアナタには出来ない事でも、今まさに帰ろうとしている社員Aさんだったら、簡単に出来るお仕事かも知れないのですからね。
アナタは、他の社員から嫌われることを恐れているだけで、他の社員達に遠慮して、お客様の事なんて、ちっとも考えていないのかも知れません。
こういう会社は、社内は仲が良くて居心地が良いのかも知れませんが、競合他社には負けてしまいますよね。
だって社員が総力で戦っていませんからね。電話を受けたアナタが出来る範囲のサービスしか提供しないわけですから。
答え3)
- アナタ「みんなちょっと待って!常連のお客様から”恰好のいい男性の絵を描いて、納品してほしい”っていうご依頼です!」
- アナタ「だれかこの件を対応してくれる人、いませんか!?」
- Aさん「あ、なら僕がやりますよ。ぼく今日アフター5の予定ないですし。絵も描いてみたかったんです。みなさん帰ってください。僕やっときます。」
- アナタ「わかりました。お願いしますね」
さてこれどうでしょう?
とりあえずアナタの第一声は、すこし進歩しました。「情報の共有」を行いましたね。
しかしその後、「意思決定」をする段階において、またもアナタは「顧客無視」を行いました。意識の高い社員の挙手に頼って、お客様に最適なサービスを提供出来る人財の選択をする行為をサボったわけですからね。
結局こういう会社も、社内における「挙手」だけがディシジョンメイキングの観点でしかなく、挙手した人財の能力だけがサービスの規定になってしまうので、答え2)とあまり状況は変わらず、アナタの会社は競合他社に負けてしまうでしょう。
答え4)
- アナタ「みんなちょっと待って!(以下同文)」
- アナタ「恰好のいい男性の絵 を描くのが得意な人、いませんか??」
- Aさん「やってみたいけど、描いたことはないです」
- Bさん「私、得意ですよ」
- Cさん「みなさんがお得意なら、私はたいした絵は描けませんので」
- Dさん「一口にカッコイイといっても色々価値判断があるじゃないか、そんなもの、わからないよ」
- アナタ「じゃあ、Bさん。お願いします」
さて、また少し進化しました。
ですがまあ、「意思決定」においては、まだまだ問題がありそうですね。わかりますで
しょうか。
これは意思決定の怠慢です。ですがこのような意思決定の怠慢は多くの仕事の局面で沢山行われているように思います。
何が怠慢かといえば・・・
この辺りから言語化するのはなかなか難しい話になってきますが、私だったらという
話をしますね。私だったら、この段階
- Aさん「やってみたいけど、描いたことはないです」
- Bさん「私、得意ですよ」
- Cさん「みなさんがお得意なら、私はたいした絵は描けませんので」
- Dさん「一口にカッコイイといっても色々価値判断があるじゃないか、そんなもの、わからないよ」
というヒアリングをした段階ですと、少なくとも、
「だれにお願いするべきか、わからない」
というのが、答えのハズだ、と、思うわけです。
ここでいう、「だれに(お願いすべきか)」の、「だれに」は、オフィスに残っている10人のうち、発言しているABCDさん以外の人達も含みます・・・
ヒントはCさんの発言ですかね
「みなさんがお得意なら、私はたいした絵は描けませんので」
これも、日本人の美徳 「遠慮」 ですよね。
■回答のまとめ
私が今回のblogでお話ししたかったテーマは、「遠慮」です。
「遠慮」という日本人の美徳は、ビジネスのチームワークにおいてとても難しいテーマ
だと、私は常々感じています。
私達は例題のように、ビジネスのさまざまな局面で、「メンバーを選ぶ」という意思決定をしなければなりません。
その「メンバーを選ぶ」という意思決定を、「遠慮」は邪魔をします。
遠慮は往々にして、目の前の相手に対し、「慮(おもんばかる)」という事をします。つまり日本人は、目の前の相手を「不快な気持ちにさせない」という事に長けており、
かつこの「目の前の相手を不快な気持ちにさせない」という概念は、「社内(社員同士)」と「社外(お客様)」というコミュニケーションにおいて、近しい、目の前の存在(つまり社員同士)との関係性やルールを優先してしまい、
ディスカッションをすることをせず、社内に「馴れ合い」の状態を作り、結果としてお客様(通り存在)に、最適なサービスを提供することを拒むからです。
一般的にこのような企業は変化に弱いのではないかと思います。
強い会社、変化に強い会社、協創を行う会社に必要なのは「ディスカッション」です。
例の話に戻しますと
答え1)~4)どの答えをみても、「ディスカッション」に至っていません。
この事例では
- 明日の朝まで、火急のお話
- お得意様からのお話なのでマストウィン
- 要求事項が曖昧(カッコイイとは何か)
- 自社や社員に実績のない仕事(誰がスキラーか不明)
ざっと考えても、これぐらい難易度のある仕事、です。
こういった課題に対して、ベストソリューションを提供するには、「ディスカッション」が必須だと思います。
「ディスカッション」をすることを「遠慮」しているから、答え1)~4)のような、「顧客無視の思考停止の意思決定」をしがちなのではないかと、思う所があります。
「ディスカッション」は、主張、尊重、統合などの必要がありますよね。もしかしたら感情の機微に対する感受性の高い日本人は得意ではないのかも知れない・・・
私は
会社の中で。「ディスカッション」が出来ていない、皆が遠慮し合って、怠惰で妥協だらけの付き合いをしているのを見ると
***めっちゃ怒ります***
怒ることを、遠慮しません
この「怒る」っていうマネジメントは、基本的にあまり高級な物ではないかも知れないと、自分でも思うんですけどね・・・
思うんですけど・・・
効くんですよねwww
もうね・・・ほんと・・・効く
私の「怒り」がなくても、皆が心地よく遠慮なく「ディスカッション」出来るわが社に、早くならないかな~と思いながら、毎日のようにオデコに血管を浮かべて、怒ってます。
なんなんでしょうね?
皆さん、ちゃんとディスカッション出来る能力を、お持ちなんですよ。うちの社員って、ほんと凄い力を持っている人、ばっかりなんです
でもね、ちょっとほっておくと、ディスカッションを「遠慮」する人、多いです。
それでも、ちょっと自慢ですが、うちの会社って他の会社に比べたら、「すごく意見の出し合いが出来ている会社」なんだと思います。けっこう褒められますからね。
でもですね、もっともっと!
もっともっと!私の理想と思える「ディスカッション出来る」会社になるまで、私は怒り続けます!!