「年休5日消化義務化」は当社社員にとって改悪

題記の話(働き方改革関連法「年休5日消化義務化」)で社内で盛り上がったので、ちょっと書いてみようと思います(ちょっと言っても私のブログはいつも長い)

 

私の会社【株式会社ソノリテ】はブラック企業で、社員に年休を5日も取られたら破滅しちゃうんです。

 

だから「年休5日間取得義務化」は当社にとって改悪なんです

 


・・・というお話ではありませんよ。もちろんw

 

タイトルは


「年休5日間取得義務化」は当社にとって改悪

 

ではなく

 

「年休5日間取得義務化」は当社【社員】にとって改悪

 

って話ですので

 

社員の利益の話、です。

 


さて、ところで皆さんは、ホワイト企業にお勤めでしょうか?

 

私は当社ソノリテはホワイト企業だと思っておりましてね・・・

(自分で自分の会社をホワイトって言うのアフォっぽいけど、まあここでは一応、そういうことにしてください)

 

ホワイト企業には色々な定義があると思うんだけれども、今日は有給休暇の話だから、

 

例えば

 

 ・有給休暇をちゃんと取得できる

 

てのが、ホワイト企業(の1要素)だとしましょうか

 

逆に、ブラック企業っての(の1要素)が

 

 ・有給休暇をとれない、とか、とろうとすると嫌がられる

 

とか、そういうモノだとして・・・

 

で、

 

実は私も、今回の法案が出た時には

 

「ソノリテはホワイト企業なので、有給休暇を自由に取れますから、有休5日間取得義務化なんてことになっても、もともとホワイトだからだいじょうぶだわいワハハハハ」と、思っていたんですが

 

よく考えてみると、どうもそうではない

 

むしろ当社ソノリテ社員にとっては、この「年休5日間取得義務化」ってのは、法律の改悪でしかない のです。

 

 

どういうことかと言うとですね

 

「取得義務」ってのが、どうも、ダメです。

 


ソノリテのようなホワイト企業(テレ)の社員にとって、本来、「理想の働き方」ってのは、有給休暇を例にとると

 

  • 働きたきゃ働けばいいし、休みたきゃ休める。だれも文句は言わない。
  • 有給休暇を使うか使わないかは、自己判断
  • 今年は忙しいから有給休暇を使わないで、来年に残しておき、来年どかっと旅行にいこう!とか自分の裁量で決められる

 

って感じのもの、だと思います。

 

要するに「自分の裁量で決められる」ってのが重要なポイント。

 

「自分の裁量」ですよ!みなさん!!!

 

ところが今回、「取得義務」ってのが生まれた・・・

 

「取得義務」ですからね。しかも企業に対する罰則付きの。

 

「自分の裁量」では決められないわけです。

 

  • 働きたいとか、
  • 年休を来年にとっておきたいというのが

 

許されなくなってしまう。

 

ね!?この辺りで皆さん、気が付いて欲しいわけなんですが

 

この、ブラック企業対策とも言える法整備は

 

  • 「働かない義務」をもたらす事の為に
  • 「働きたい」権利や、「年休をフルフル来年にとっておく」なんて権利を奪う

 

モノなんですよね


「でもまあ、別に良いじゃないですか。ソノリテってのはホワイト企業なんでしょ?社員の休みが5日分義務になったって、もとから問題ないんじゃないの?」


そうですかね?

 

私は経営者ですのでアレですが、私が自立した社員だったら、怒りますね

 

 「俺の有給休暇だ!俺が好きに使う。休むも休まないも俺が決める!勝手に決めるな!」

 

ってね

 

怒るよね!自立した社員(というか自立した人)だったら。

 

ブラック企業って、こうなんでしょ?

 

  • 社員「来週休みます」
  • ブラック上司「ダメ!休むな!」
  • 社員「俺の有給休暇だ!俺が好きに使う。休むも休まないも俺が決める!勝手に決めるな!」
  • ブラック上司「ダメ!会社のためだ!休むな!」

 

まあ、これはブラックだよね

 

それが、今度は

 

  • 社員「来週休むつもりだったけど、仕事立て込んでるので旅行は来年にします。このプロジェクトが終わったらゆっくり旅行に行きます」
  • ホワイト上司「ダメ!休め!そうしないと年5日の年休消化が出来ないから、会社が罰則を喰らってしまう!」
  • 社員「俺の有給休暇だ!俺が好きに使う。休むも休まないも俺が決める!勝手に決めるな!」
  • ホワイト上司「ダメ!会社のためだ!休め!」

 

って、なるわけですよね?


こんなアフォな話って、ある?


いや、わかりますよ。経済活性化でしょ?

 

休む->お金使う->経済活性化 でしょ?

 

有給休暇義務化->大企業の資金プールをマーケットに流す->経済活性化 でしょ?

 

でもさあこれブラック企業対策を隠れ蓑にした経済活性化施策だとしても、その為に、犠牲(義務化と言う犠牲)になるのはホワイト企業に勤める社員ですからね!

 

どうしてこうなんでしょうか?

 

どうしてこう、アフォな話になるんでしょうか?

 

この問題の根本は、第一にはブラック企業の存在。それはまあ、そうですよね。ブラック企業なんてものがあるから、こういう強制的な対策をする必要性を、国民が許容する。

 

まあそれは簡単な話。

 

今日私が言いたいのは、問題の根本の第二点

 

それは、日本人が甘えた依存型であって、自立していないからだ。という事です。

 

どういうお話かと言うと、例えばアナタが有給休暇をとれないブラック企業に働いているとしますね・・・もちろんご苦労をされているのだと思いますし、アナタは被害者なのだと思います・・・

 

でも、

 

ブラック企業なんて辞めちゃえばいいんです。あるいは有給休暇は誰がなんと言おうと取得すればイインデス。

 

だってアナタが正しいんだから

 

それを、まあ、大袈裟に言うと、法律に助けてもらおうとする

 

これって、依存です

 

ブラック企業という企業に依存して生活し、そのブラック企業について気に入らない点があれば、その上位集合である国、国に依存する

 

国の法律というやつに、助けてもらおうとする

 

そんな風に国に依存している人がいるから、この国は依存から抜けられない

 

依存から抜けられない人が多い国では、自ら勝ち取ったホワイト企業における恩恵というものは、無視され、搾取されてしまう

 

私に言わせれば(ブラック企業にお勤めの方の苦労を承知で言いますが)皆さんがちゃんと、自ら自分の会社や上司と闘って、有給休暇を勝ち取っているならば、ホワイト企業であるソノリテの社員に、迷惑はかからない

 

あるいは社畜

 

会社に依存し会社に飼いならされて生きてしまっていて、全然休まない。

 

この「休まない」人のせいで、ホワイト企業で「休みたい」人の自由度が下がっている。

 

ほんともう、この辺りの「依存」の存在に、はやく手を打たないと・・・

 (「ブラック企業に働く人」の批判を書きたいわけではないのですが・・・)

 

 

あと、ちょっと私たちの会社の特徴的な制度の事を書きます。

(ここは本質ではないので、読み飛ばしてもいいデス。印、つけときますね)

 

★★★読み飛ばしても良いゾーン ここから★★★

当社株式会社ソノリテ には、MMD制度(Make My Day制度)と言うのが有ります

 

これも、今回の働き方改革関連法の影響で、改悪になります

(興味があれば、取材に来てください。)

 

ちなみに制度の内容は・・・

 

社員の創造性やコミュニケーションなど様々な効果を期待して、月に1日、「仕事以外の事をしよう」という制度です。給料がでます。

 

色々な事をする社員がいます。何かを鑑賞しに行ったり、何かを作ったり、勉強したり、社員同士で遊びに行ったり

 

基本的に「寝ている」のだけがNGで、報告義務として社内BLOGを書けばOKという、そういう制度、です。

 

いいでしょ?

 

これ、良い制度だと思っています。私は。

 

  • 忙しいとMMDが実施出来ない。忙しい人に報いが無い制度だ
  • MMDと良いながら実質有給休暇のような私用に利用している
  • 会社を弱体化する。会社全体の生産性を下げる

 

など、さまざま問題があります。

 

ですが、私はこれ、良い制度だと思っています。現状は。

(「現状は」と書いたのは・・・まあこれは、機会があれば書きますが・・・)

 

この制度、よく利用してくれている社員と、そうではない社員がいるのですが

 

この、MMDって、「有給休暇とどう違うのか」というと

 

■違いA

  • 有給休暇<何をしてもいい
  • MMDMMDの理念に準じていれば何をしてもいい。寝ていてはダメ

 

(ちなみに私、過去に「MMDでお墓参りに行っていいですか」とか「MMDでちょっと役所に行ってきていいですか」とかいう申し出は却下したことがあります。だってそれってMMDの理念に遠い、「私用」ですから・・・そういうのはどうぞ「有休」をお使いくださいとお話している)

 

その他の違いとして

 

■違いB

  • 有給休暇<法律に基づく
  • MMD<当社の独自制度

 

また

 

■違いC

  • 有給休暇<翌年への繰り越しが可能
  • MMD<繰り越し不可

 

 

こんな感じ、です。

 

そして、ここで問題なのが(つまり当社社員にとって不利益変更になってしまうのが)、主に■違いAに基くものでして・・・

 

MMDの理念は、「業務外の活動が業務に活かされる」という事をより能動的に会社が支援しようという取り組みです。

 

「年休」これはもう、好きにしてくれ。どんだけ自堕落に時間を消費したって構わんよ。うんうん

 

ところが「MMD」は、会社が給料を払って業務外活動を奨励するんです。

 

つまり社員の皆さんはその理念にしたがって、「仕事ではない自己実現」をするわけですよ。

 

でも、この「自己実現」ってやつは、「年休」でも、出来る。ここが問題。

 

さてそうなると・・・

 

こんな社員を想定すると、わかる

  • 仕事が好き。仕事にやりがいを感じている。
  • MMDという理念にも賛同している。自分の業務をうまく調整し、MMDを取得。他の社員と懇親する為一緒に映画を観に行ったり、趣味の創作活動なんかに時間を利用したりする。
  • 有意義に過ごせるし、この有意義な活動はきっと長期的には仕事にも活かせるであろうと言う感触を持っている
  • 有給休暇は体調不良などで3日ほど利用した。医者に行ったりした。
  • 今のプロジェクトが終わったら旅行に行こうと思っているので、有給休暇は来年にとっておきたい。

 

で、この社員が、前々から予約しておいた舞台の鑑賞にいこうと、3月にMMD取得を申し出たら・・・私(会社の経営者である齋藤)は、この社員にこう言わねばならない。

 

「悪いねぇXXさん。今度のMMDは有給休暇を利用してくれないか?あなたは年間の有休5日間取得義務に足りていない。だからMMDを許可することは出来ない。有給をとって舞台鑑賞に行ってくれ。そうしないと会社が罰せられてしまうんだよ・・・」

 

ね?

 

なんか、変ですよね?

 

この社員にとって、「有休5日間取得義務化」ってのは改悪ですよね?

 

あくまでも「MMD」という、当社固有の制度を前提にした話ではありますが・・・

 

これ、なぜ起きるのか?

 

やっぱりこれ、私は、基本的に大衆が依存的支配に頼っているからだと、思わざるをえないです。

 

★★★読み飛ばしても良いゾーン ここまで★★★

 

「自分の裁量で決められる」のが自立した個人の幸せなのです

 

「法律で5日間休めって義務になったよわ~い」なんてのは、単に会社と言う支配者より上位に存在する、国と言う支配者に、優しくされた依存者っていうだけなんです

 


・・・いや、わかるよ

 

みんな弱者なんでしょ?

 

あるいは弱者を守るのが法律なんだと、言いたいんでしょ?

 

「齋藤はいつもうるせえな。会社の社長なんてどうせ社員をこき使うことしか考えてねぇくせに偉そうに自立だなんだとか言いやがって!そんなに世の中簡単に自立なんて出来ねぇんだよ!みんな助け合って気を使い合いながら生きているんだ!そんな中自分だけ自分勝手にいろいろ言うって事は難しいんだよ!齋藤みたいなワガママ人間ばかりじゃないんだ!だから法律で休みをとらせる必要があるんだよ!!」

 

って、言いたいんでしょ?


・・・ほんとにもう

 

良いんですよ。そういう人は、そういう人と、結束の固い、一蓮托生一枚板、そういう会社でガッツリ働いてくれれば良いんです。きっと

 

ただ、私は嫌だ。私の会社がそうなるのは、嫌

 

私の会社は、自立した個性が多様に共存し、多様に共鳴し合う、そういう中から新しいものを生み出せる、会社であってほしい。


・・・だからね

 

もしそういう私たちの概念に共鳴してくれる人がいるならば、いや、いるでしょ? いるよね! ねぇ!?

 

そういう人ならば、年休のとりかたは自分で決めたいはず。

 

だからそういう人は、「有休5日間取得義務化」の「拒否権」みたいの作ってくんないかなぁ~

 

だってほんと、いくら適法経営だからといって・・・おれ、ホント言いたくないもん。MMDをとろうとする人に、「MMDやめて年休でやれ」だなんて

 

 

プレミアムフライデー」の時も、思ったけど

 

ほんとさ、文化変えようよ。文化