ルールがないとメンドクサイ?

saitoukazumasa.hatenablog.com

 

前、ルールについて↑のようなブログを書いたんですが、また、ルールについて書きます。

 


私が小学生の頃に、学校に「廊下を走るな」というルールがありました。

 

皆さんの学校にも「廊下を走るな」というルール、ありましたか?

 

小学生なので、友人とふざけ合っていたりしてテンションが上がり、走り回っていると、先生から怒られたものです「こらっ!廊 下を走るなっ!!」

 

でも例えば皆さんは、先生が何か緊急の用事で、廊下を走っている姿を、見たことはありませんでしょうか?

 

その時、どう思ったでしょうか?

 

私はこう思いました。(まあ、先生は大人だからな…)

 


「廊下を走るな」というルールは、おそらく、走っている小学生同士がぶつかって怪我をしたり、すべって転んだりするような「怪我の防止」を目的にしたルールなのではないかな~と思います。

 

小学生ですから、周りの状況に注意して、理性的にふるまう事が必ずしも出来るとは限りません。

 

身長が低いせいで視野も狭い。 筋肉もまだ未成熟。

 

したがって大人よりも怪我をする確立が高い。

 

そして怪我をした場合、まだ未成年なので、回りの「保護者」が責任をとるということが一般的な通念である。


つまり「子供」なんですね。


あたりまえですよね。小学生 なんだから、 子供 である。

 


「子供」とは

  • 未熟である
  • 未熟ゆえに、失敗をするリスクがある
  • 未熟ゆえに、保護者が必要である


まあ、そんな感じ。

 

だから子供は、ルールにしたがいましょう。未熟者である子供は、色々な事を自分の力で制御したり、自分の判断で行動したりす ると、怪我をしたり、失敗をしたりするから、ルールにしたがいましょう。

 

まあ、そんな感じになるわけです。だからルールがある。


でも小学生だって、走り回っていたら危ない事ぐらいわかります。

小学校1年生と6年生じゃあ、体格もだいぶ違うから、1年生に6 年生がぶつかったら、とてもヤバい事になるくらい、知っています。

 

でもですね~ 走っちゃうんですよね。子供だから。

 

だからルールを作るわけです。「廊下を走るな」と。


なんなんでしょうね?


なんなんでしょうね?ルールって?


小学生だって、知っているんですよ。走ったら危ないってことぐらい。

 

じゃあ、「ルール」を作ると、どうなるのか?

 

「もともと(やったら危ないと)知っている事  が  ルール  に なった」ら、何が変わるのでしょうか?

 

子供(小学生)は

  • 自分(子供)は、「走ったら危ない」と、知っている
  • でも、テンションが上がっていたり、何か急いでいたりすると、つい、走ってしまう
  • でもその「今なら走っても良い」という判断は、間違っている可能性がある

 

そこで、大人(保護者)はルールを作ります

  • 自分(子供)は、「走ったら危ない」と、知っている
  • 廊下は「走るな」というルールがある
  • ルールを破ってはいけないから、走らない

 

これが、ルールを作った側の、期待値です

 

ここで、「ルールを破るモノ」が、出てきます

  • 自分(子供)は、「走ったら危ない」と、知っている
  • 廊下は「走るな」というルールがある
  • でも、テンションが上がっていたり、何か急いでいたりすると、走りたい
  • 今廊下には誰もいない
  • 走る

 

ここからはいくつかに分岐します。

  • 廊下を走っている子供がいる
  • 先生がそれを見つけ「廊下は走るな!」と叱る
  • 生徒「なんでですか?」
  • 先生「ルールだから」
  • 生徒「今廊下には誰もいないじゃないですか?」
  • 先生「子供は判断を誤る可能性が高い。だからルールに従いなさい」
  • 生徒「はい」
  • 先生「聞きわけの良い、良い子だね」

 

分岐2

  • 廊下を走っている子供がいる
  • 他の子供がそれを見つけ「廊下は走ったらだめ!」と言う
  • 走る生徒「なんで?」
  • 叱る生徒「ルールだから」
  • 走る生徒「今廊下には誰もいないじゃん?」
  • 叱る生徒「子供はルールに従わないといけない。大人のいう事を聞かなければいけない」
  • 走る生徒(もやもや)
  • 叱る生徒(私は先生のいう事を良く聞く、良い子)

 

分岐3

  • 廊下を走っている子供がいる
  • 他の子供とブツかる!怪我をする
  • 先生や、他の生徒が叱る「廊下を走ってはいけないルールでしょ!なんで走ったの!!」
  • 走った生徒「・・・・・」
  • 叱る側「お前みたいのがいるからルールはあるんだ!みんなもルールを守って、他の人に迷惑をかけるなよ!!」


こうやって、どんどん、「ルールを守る子」というのが出てきます・・・ね。


ルールはですね。


なかなか、難しいものです。


ルールによって、ルールを破って(廊下を走って)事故を起こした子供は、どうなるか?

 

ルールの大切さを知り、ルールを守ることで、みんなが平和に成れることを、知る

ので、しょうか・・・

 


私は、以下の可能性が恐い、です

  • ルールを破ると怒られるので、「何しろルールに盲目的に従う」人になってしまう
  • ルールがないと「判断が出来ない」人になってしまう
  • ルールを守らない人を「悪人だ」と評価する人になってしまう

 

上記が、恐い、です。とても、恐い。

 


私は、自社の社員に、以下のような人になってもらいたいと、思っています

  • 常識を疑える人
  • 自分の哲学をもっている人
  • 非常識な発想ができる人
  • 新しい事にチャレンジすることが出来る人
  • 古いものを壊すことが出来る人


だから、何かに、盲目的に従ったり、常識というルールに囚われたり、縛られたりしている人を、残念だなと思うのですね。


だから、私は私の会社に、出来るだけルールを作りたくないんです。

ルールは人を盲目的にし、自立志向や改革的発想を阻害する可能性があるから、なんです・・・

 

・・・・・・

 

・・・・・・・・・おいおい 大丈夫かよ 齋藤よ

 

・・・バカな事言ってちゃ、いかんぜよ 齋藤

 

ルールの無い所で、仕事の効率や、品質、安全などが、上げられるわけが、ないだろ? 齋藤

 

・・・うん・・・はい

 

・・・そうですね・・・そうですよね・・・


例えばですね


車を作っている工場があるとしますね?


ネジをシメるための、ドライバーがあります。この工場の中に、200本の、ドライバーがあるとします。


今日、ドライバーが一本、無くなってしまいました。

 

さて、どうしますか?


最悪の回答「ドライバー一本ぐらい、新しいの買えばいいよ」


まあ流石に、それはマズい事ぐらいは、わかりますね

 

そのドライバーが、まずお客様にお納めする車の中に入ってしまっていたら、入っている場所によっては、大きな事故に繋がります。最初にそれを心配しなければなりません。

 

もしお客様の車に入っていなければ、次に工場の機械を疑いましょう。明日工場を始動したときに不具合が発生し、大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。

 

・・・ですので

 

必死に、必ず見つかるまで、工場の中を隅から隅まで探しましょう。

 

ドライバーが見つかるまで、絶対に何もしてはいけません。工場を動かしてはダメだし、作った車を売ってもダメです。これは「 ルール」です!


まあ、それくらいは、誰でも思いつきますね?

 

はいじゃあ、みんなで必死に探して、ドライバーが見つかりました。探すのに30分、みんなで残業をしました。


一件落着


・・・では、ないですよね


なんで、ドライバーは無くなったのでしょうか?


ここを調べないといけませんね

 

そうしないと、明日もまた、ドライバーが無くなるかも知れませんからね


明日もまた、全員が30分残業するとなると・・・会社としては無駄な残業代を払う事になりますし、工員のみなさんだって、迷惑です

 

はい。調べます。調べました。


原因は、ある工員の「ポケットから落ちた」のだとわかりました(もちろん今どきこんなミスをするようなオペレーションの工場なんてないでしょうけれど)

 

ですので、「工具をポケットに入れない」という「ルール」を作りました。


一件落着


・・・では、ないですよね


まだまだやる事は沢山あります。

  1. 他の工場で、類似事案が発生する可能性があれば、通知をする
  2. 自分の工場で、ドライバー以外で類似の事象が発生しそうな可能性があれば、通知をする
  3. 当該の工員が、「なぜドライバーをポケットに入れたのか?」を研究し、業務に不必要な理由であれば、その理由の根源を無くす
    (例えば工程1,2,3のうち、工程1と3にドライバーが必要で、工程2にドライバーが不必要なら、工程を見直す)
  4. そもそも作業服にポケットが必要なのかを検討する。また、ポケットに蓋をつけるなどを検討する

等々

 

何かトラブルが起ったら、上記のようなことをする「ルール」を作っておいて、品質を高めて行く

 

私は工場オペレーションの素人なので上記は想像ですが、まあ、モノヅクリをしている人は上記のようなことを「KAIZEN」 として行う事が、染みついている

 

みんなそうやって、品質の高い「仕事」をしているのだと思うんです。そうやって、過去の失敗経験や学びを「ルール」などにして、引き継いでいく。

 

つまりですね、言いたい事は・・・

 

KAIZENとは本当に、様々な思考や努力を徹底的に積み上げることであり、そのKAIZENの一つの産物として、「ルール」はあるんだよ。と言う事が、言いたいわけです。

 

  1. あるトラブルがあった
  2. そのトラブルを二度と起こさない様、徹底的に色々な策を考える。それがKAIZEN
  3. KAIZENの産物の一つとして「ルール」がある


ひっくり返して言うと、


「ルールとは過去の失敗を繰り返さないために制定されたノウハウ」

 

で、あるとも、言えるわけです

 

そう考えると、先の「廊下を走るな」というルールは、過去のトラブルを二度と起さないようにするノウハウであって、そのルールをみんなで守る事で学校生活の品質が上がると、まあそういう事ですね。


ルール素晴らしい!


ルール最高!


ルールがしっかりしている学校であれば、怪我をするリスクの多い子供たちだって、安心して任せることが出来る!!

 

ある種の親の感性からすると、そのように思います。


もうちょっと大げさな話にしましょう

 

ルールの延長で、法律の話をしましょう


「法律のない国」があったら、恐いですね


例えば車、全ての道において、どちらの車線を走っても良いし、信号を守ろうと守るまいと罰せられないし、どれだけ速度を出し て走っても良い。という国があったら

 

私だったら怖くて、車の運転をしないどころか、家から出れない・・・


だからですね!法律すばらしい!


法律最高! ルール最高!!

 

・・・・・


・・


あれれ・・・と


最初齋藤は、ルールが邪魔・・・みたいなことを言っていた。でも、なんだ結局、ルールは必要なのか・・・


どうやら背反な意見になっている


ルールによって安全が確保されたり、品質が高まっている社会では、「常識を疑える人」や「非常識な発想が出来る人」って、育たない・・・

 

逆に

 

「既存の常識に問わられず、自分の哲学を持つ人」にとって、「束縛の弱い自由な空間」を作ると、それはもしかして、❝とても品質が悪かったり、安全が保たれていない空間になっているのではないか・・・❞

 


さて、

 

うちの会社(株式会社ソノリテ)は、比較的、「ルールを作らない」会社です

 

だから、特に他の会社から転職をしてきてくれた人などは、戸惑う場合があります

 

「XXXのルールはどうなっていますか?」

「ありません。自分で考えてください」

「はぁ・・・しかしそれでは・・・困ったな ・・・」


先の「工場のドライバー」などの話で、例えば「ドライバーはどこに片付けたらいいですか?」と言われて「自分で考えてくださ い」と言われたら、困るでしょうね。

 

そう、うちの会社は、結構「社員が困る会社」なんですね。

 

困らせたいんです


出来るだけ、困らせたい


この「出来るだけ」というのが、とてもとても、難しいのですけれども・・・


社員「え?だって、ルールがないと、何をどうしたらいいかわからないですよ!とても怖いです。」

 

と、問われたら、私はだいたい、以下のように答えます

 

齋藤「社員から、成長の機会を奪いたくないから、出来るだけルールを決めない」


社員「えー」


で、


だいたいそのあと、社員の口から出る言葉って、決まっているんです


社員「えーーー メンドクサい会社だなぁーーー」

 


これ

 

そうなんですよね。うちの会社は「社員が困る会社」で、それは「社員がメンドクサがる会社」


この「メンドクサい」が、重要

 

そして、社員はこの「メンドクサい」の代わりに、何を得るのでしょうか?

 

そこが、さらに重要

 

私は以下3つだと思っています

 

  • 本質的な自由
  • (ルールに従えば楽、という依存型の効率ではない、本質的な)効率
  • ルール(ローカルルール)を自分で考えるという成長のチャンス


この3つ


長くなりましたが、この3つ「自由、効率、チャンス」を、自らの働き方に取り入れたいと考える人は、出来るだけルールのない職場で働く事をお薦めします。

 

アナタが

  • 常識を疑える人
  • 自分の哲学をもっている人
  • 非常識な発想ができる人
  • 新しい事にチャレンジすることが出来る人
  • 古いものを壊すことが出来る人

だったら、きっと成功しますよ・・・


廊下を走らない良い子だったアナタには、もしかしたらかぎりなく「メンドクサい」職場なのかも知れないですけどね・・・

 

でも、どうするかは、アナタが決める事です。



最後に一つ、一番大事な事を言うのを忘れていました。


最初の方に書きましたが

 

子供である小学生は、廊下を走るなっていうルールを守った方が良いですよね?

 

でも、大人である先生は、廊下を走っても良いですよね?


・・・大人だからね


そう


ルールのない会社で「自由、効率、チャンス」を得て、様々な活躍が出来るのは、大人だけです。

 

ルールのない会社が❝とても品質が悪かったり、安全が保たれていない空間になっている❞としたら、

 

それはそこに「子供」がいるからです。

 

子供がいるから「廊下を走るな」というルールが必要です。

 

大人だらけの空間に「廊下を走るな」なんてルールは不要。

 


だからアナタがもし「自分はまだ子供だ」と思うなら、それならルールのある会社で、修行した方が良いかも知れないですね