当社「株式会社ソノリテ」の経営理念には「社員の成長」があり、社員には「長所を生かした仕事をしてほしい」と思っています。
ここで「長所」とは何か?という話になりますが
例えば
「あの人の長所は、我慢強さで、お客に信頼を得る事だ」
「あの人の長所は、マシンガントークで、場の空気を盛り上げる事だ」
「あの人の長所は、全てのお客様の生年月日を記憶して、アフターフォローしている事だ」
など、
なんとなく、僕の定義では、「長所」というのは
・対象となる事柄(仕事など)に対するものである
・第三者の評価であったり、定量的に測れたりするものである
というのが、「長所」なのかな?と思っています。
これが、例えば「対象となる事柄(仕事など)」が、変わるとですね
例えば、おしゃべりな人がいて、司会者のような仕事があったとして
「あの人の長所はマシンガントークで場の空気を盛り上げる事ですね」
となるのかも知れませんが
逆に、例えば同じおしゃべりな人が、弁護士のような仕事をすると
「あの人の短所は、おしゃべりのしすぎでお客様に信頼感を与えられない」
なんてことも、あるんじゃないかな?
つまり対象に対して、自分の「特徴」をどう生かすか・・・という所が、「長所あるいは短所」なのではないかなと思うんですね。
で、うちの会社は、社員の皆さんが「長所」を活かしてもらいたいので、社員の「長所あるいは短所」を知りたいわけなんですけれど・・・
まあ単純に「あなたの長所は何ですか?」と、聞きますよね?(まあこういう質問をする私も良くないのですけれど)
そうすると、
「暗算が得意です」
「体力には自信が有ります」
「数字に強いです」
「手先が器用です」
いろいろとお返事が返ってきます
でもこれみんな、「得意」な話であって、先の定義でいう所の「長所」ではない。
え?
「長所」と「得意」って違うんですか? と思われたかも知れないのですが、
私の定義では、違います。
私の定義
長所:やると、良い成果が出るもの
得意:やると、上手く出来て楽しい事
むむむ?似たような、似て非なる物のような・・・
では、逆に「短所」と「苦手」に関する、私の定義を書きましょう。こっちの方がわかりやすいと思うので
短所:やると、悪い成果が出るもの
苦手:やると、上手く出来ず苦しい事
・・・あんまりわかりやすくないかな
要するに言いたいのは(あくまでも私の定義ですが)
長所/短所:客観的な成果となって現れる
得意/苦手:主体的な感情が中心となっている
ということ
だから例えば、先に言った「おしゃべりな人」にとって、「おしゃべり」は「得意」
なんじゃないかなって、思うんです。
おしゃべりが「得意」 -> 仕事Aにとっては「長所」
おしゃべりが「得意」 -> 仕事Bにとっては「短所」
こんな感じ
な~んだ、そんな事か~
そう。そんな事なんですね。そんな事なんですけど、これとても重要な事で・・・
私は、「長所は」と聞いて「得意」な事を喋る人は、ちょっと足りてないなと思うんです
だから例えば「長所は」と聞いて
「私の長所はおしゃべりです」
と答えた人がいるとすると・・・ああ・・・こいつ足りてないわ・・・と思う
「それはおまえ、おまえが喋るのが好きなだけちゃうんか?」と、思う
例えば、アナタの周りにもいませんか?自分の喋りたい事だけ好きなように喋って、相手の話なんか全然聞かないし、相手が自分のおしゃべりに対してどう思っているかについて、すごく鈍感な人。
そういう人にとって、「おしゃべりが必要な仕事」は実は「長所に成り得る場面」では、無いかも知れないんですよね
それに本来(ここ重要)
「長所は」と問われて、自分が何をやることが「楽しいのか?」と考えている時点で、自分本位でしかない。
わけです
ドラえもんに出て来るジャイアンに「何が長所ですか?」と聞いたら、「歌を唄う事」と答えた・・・ようなもんです
長所は、おそらく過去に自分が出したことがある「成果」を起点にして、語るべきかと思うんですね
「私は過去にこういう成果を出したことがある。その時私はこのような評価を受けた。よって私の長所はそういう所にあると思う」
これが恐らく、思考するフレームワークとしては正解じゃないかな
(まあそれでもジャイアンなら「私は過去に町中の少年たちを集めてリサイタルを成功させ、少年たちから喝さいを浴びたので、私の歌は長所だと思う」と言うだろうけれど)
つまりは、ですね(ここも重要)
私は「アナタが何を楽しいと思っているか」なんて聞いてないよ
って事に、よく注意してもらいたいんですよね。
さっきの、私の定義
長所:やると、良い成果が出るもの
得意:やると、上手く出来て楽しい事
つまり、私の質問は
「アナタはどんな成果が出せる人なのか」
であって、
「アナタが何を楽しいと思っているか」
という質問は(基本的には)していないよ! って事なんです。
(基本的には)と記したのは、先の「長所」「得意」議論の外枠で、「人は得意な事を仕事にしたほうが、楽しいし捗るし成果が出やすいハズ」という、ちょっと浅めの仕事論があるので、(基本的には)を付けているわけですが
だから改めて書きますが、私が「あなたの長所は?」と聞いたら、あなたはうちの会社に、どんなメリット(成果)をもたらしてくれますか?という事を聞いているのであって、あなたが何を楽しいと思っているか?なんてことは、基本的には聞いていない。
おいおい
とんでもねえ、ブラック社長だな? ソノリテの齋藤って野郎は
社員が、どんな仕事を楽しいと思うのか?ということは無視して、どんな成果が出せるのかしか、興味がないってさ。コイツは?
・・・と、
思われたかも知れませんね。
もちろん、必ずしも、そんなことはないです。
「必ずしも」です。
もう少し、「仕事」を、深く考えましょう。
皆さんは「仕事」に、何を求めているのでしょうか?それはそれは、色々な事があると思います。
生活の糧/楽しみ/暇つぶし/やりがい
/人の役に立つ感触を得たい/自分の力を試す場/修行の場
/家族を安心させたい/組織に帰属したい/etc
色々な立場の人が、いろいろな物を求めて、働いている。そういった中で、「得意な事を仕事にしたい」という一局面だけで会社のスタンスを、単純に評価しては、いけませんね。
組織は、運命共同体。パフォーマンスが重要。会社は遊び場ではありません。
私は、社員の皆さんに「長所を生かした仕事をしてほしい」と思っています。これは、本当です。
それは何より、会社のパフォーマンスが最大化するからです。会社にとって唯一無二の尺度は成果であり、社員がなぜ働くかは、先に示したように多くの事柄があるのですから、
それは何であれ(例えばひまつぶしであれ)「成果」を出してくれれば、私は「社員がなぜ働くのか?」にまで、本質的に立ち入るべきではないと考えています。
だからそれで、いいはずだと、これが私の定義
長所:やると、良い成果が出るもの
得意:やると、上手く出来て楽しい事
の違い、でした。
追:
ちなみに私は、当社に入社面談をしに来てくれる人たちに、私は、色々な言葉を使って質問をしています
「あなたの長所は?」
「あなたは何が得意ですか?」
「あなたは何をやっているときが楽しい?」
「あなたはどんなことがやりたいですか?」
「あなたの嫌いな事はなんですか?」
その質問に対して、例えはこのblogに書いているように
「齋藤という人間は、長所という言葉と、得意という言葉を、使い分けて考えているようだぞ。面談の質問も注意深く聞いていないと、間違った答えをしてしまいそうだな」
などとは、考えていただかなくて結構ですよ。
言葉の定義なんて人それぞれだし、質問に対する一問一答よりも、もう少し深い所で人間観察しているつもりですので
ただ、最近ちょっと思うのは・・・どうも
「自分にあった仕事をする」
という事を、短絡的に
「やったら楽しそうな仕事をする」
と、考えがちな人が、けっこういるな・・・って感じているところから、こんなblogを書いてしまった齋藤です
ビジネスというゲームに勝つには、自分の感情に左右されず、まるでポーカーをやっているように計算高く、表情にださず・・・そんな勝ち方も、ありますよね。
また、自分が「苦手だな」と思うような事は、大抵の人達もやっぱり「苦手」であって、この「苦手」な事をやってあげれば、人助けと言うビジネスが成立するという、基本的なサービスの原点も、あります。
どうも最近、「仕事と感情」っていうテーマが続いている齋藤blogです
纏めの二言
「自分の長所は、自分にとって楽しい事とは、限らない」
「自分が楽しい事が、成果を出せるとは、限らない」
感情を除外して、自分が仕事で何が出来るのか、考えてみても良いのではないでしょうか